わたしをさらった王子様


第10話:泥棒


由利子は泣きながら、聖彰彦に問う。
彰彦の顔は困惑しているのがわかる。
女としての由利子。
妻としての由利子。
母としての由利子。
由利子は女の顔だ。
夫、卓也の前で見せない顔なのだろう。
聖彰彦の唇が由利子の唇を塞ぐ。
由利子は聖彰彦を愛しているのがわかる。
聖彰彦の方は、由利子とのセックスは良いが、それ以外は。
最近飛び込んできた、純情小娘、ひみりの方が良い。値踏みした。聖彰彦は言った。
「ひみりちゃんをとる。」
由利子の泣き声が部屋中に響いた。










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