久遠の記憶2


第4話:ヘパイトス


漆黒の長髪に澄んだ湖水のような瞳、肌は白絹のようでその肢体は彫刻細工のように端麗、美貌の神ハーデスを例えるには稚拙になるほどの美麗さ。争いを好まずクロノスの一戦で始めて冥の力を解放した闇の神。
ハーデスは今オリンポスから去ろうとしていた。ポセイドンは話し合いが決裂してから程なく顔も合わさず出ていった。荷物をわずかに小宮殿を出ようとしたハーデスの前に、翼を柄に意匠化した長剣を手にヘパイトスが現れた。「間に合ってようございました」ヘパイトスは膝まずき頭を垂れハーデスの前に長剣を恭しく掲げた。
「唐突だな。その剣はいらないと言ったが」
「わたくしめが打ち直しました剣、宵闇にございます」
ハーデスはため息をついた。宵闇は自分の力に耐えたいわゆる神剣。クロノス討伐に使用したが強い力ゆえ捨てたのだ


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