久遠の記憶2
第5話:冥界への道
「冥府は魔獣妖魔のひしめく混沌の世界とか。武器も無しでは危のうございます」
魔獣や妖魔以外にも原初神も存在する異界に武器も携えず赴くのは危険だとヘパイトスは進言する。
ハーデスは白い手を伸ばし宵闇を掴んだ。
「備えとして持って行こう。抜く事はないと思うがな」自分にはあらゆる力を寄せ付けない闇の護りがある。命の根源たる大宇宙の深淵の力。形は人形であってもハーデスの根本は闇の深淵なのだ。生命は闇から生まれ闇に還る。大宇宙の摂理をハーデスは知っている。
「用が無ければ私は立つ」ヘパイトスは深々と平伏した。
「ご武運をお祈り申し上げます」
ハーデスはヘパイトスの傍らを通り抜けていった。
「宵闇よ。ハーデス様をお守りしろ。歌劇のために」
ヘパイトスの眼差しは不気味に光っていた。
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