久遠の記憶2


第7話:ブルージャッジメント


異界に入り込んだハーデスに跳梁跋扈する魔獣妖魔達が群がる。どれもこれも秩序のない力に飲まれた憐れな器達。
ここを統治するべき秩序の要は何をしている…ハーデスは軽い憤りを覚えていた。「始まりと終わりの中へ今一度汝らを還そう」
光も差さない冥界が蒼く染まる。周囲が灰色に変わり、天上が水面が揺らいだように揺れた刹那、それは魔獣妖魔達に質量となって落ち、一切の生命を飲み込んだ。
「これで幾体目か」深い蒼き光に飲まれる命を見つめるハーデスには切なさが滲んでいた。数え切れない生命を還してきたが幾らかはハーデスの周りに付き従うように周回していた。「汝らは、始まりから出でたのだな」ハーデスの力は蒼き審判。生命に本質を問い、未熟な魂は再育成のために終わりに還す。


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