久遠の記憶2


第8話:対峙


ハーデスの周りを周回していた星達が激しく旋回しはじめた。「来たか」ハーデスは虚空を見上げる。金と銀色の輝きを纏い、それは現れた。
「地上の臭いがするな」不快げに銀色の方が口を開いた。銀色の髪と銀色の瞳を持った20代前半の容貌の男。「この冥界において地上の臭いを染み付かせたまま入り込むとは無作法な奴だ」「冥界の所作は知らぬ。学ぶ暇もなかったのでな」(双子か、髪と瞳の色を除けばそっくりだ)双子は並々ならぬ異彩を放っていたがハーデス泰然と双子に向き合っていた。「お前達がこの世界の神か?」「ニュクスより賜った。それがどうした」銀色の神は高圧的に言い放つ。「魔獣妖魔達が横行し過ぎる。秩序は乱れ無害な魂達が犠牲になっている」「人間の魂か?地上にはいくらでもいる。いちいち気にしていられるか」
銀色の神は口を歪め鼻で笑う。
「俺たちは気が向けば仕事をする。余所者に指図は受けぬ」
金色の神が銀色の神を制止口を開く。「我らを前に臆さぬとは名のある者と見受ける。何者か」


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