小さく短い恐怖 4/3更新


第1話:『花』


「……は……花…?!」
通勤電車の中でOLは首をかしげていた。
なぜならば彼女のすぐ隣にいる中年サラリーマンの後頭部に、きれいな花が一輪咲いていたからだ。
(趣味が悪いな…)
そう考えていたが、周囲を見回すと誰もその花に気付いていないようだった。
むしろよくよく周囲の人たちの頭にも花が咲いていた。
しかも人によって花の大きさ・美しさが違い、お年寄りの頭には萎れかけの花が咲いていたり、妊婦のお腹から小さなつぼみが出ていたりしていた。

ふとOLは後ろに座っていた親子を見た。
その瞬間彼女の表情が強ばり、彼女は普段下りる駅の1つ前の駅で下りてしまった。
なぜならば子供2人の頭に咲いている花がほぼ完全に枯れていていたからだ。
気持ち彼らの顔色も暗い感じだった。
そして何より母親の頭のてっぺんで真っ赤な花が美しく瑞々しく咲き誇っていたかはだった。


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