小さく短い恐怖 4/3更新


第11話:『イヤホン』



一人での大学からの帰り、暗い夜道を自転車で走りながらイヤホンから流れる好きな歌手の曲を聞いていた。
すると昔の名曲の合間合間に何だかわからない声が入ってきた。
「し…ぼん…ま……だ…や…」
なんとなくか細い声だったが少しずつ音量が大きくなっていった。
そして注意して聞いてみると、それらの声が昔よく聞いた童謡だった。
「なんで童謡が?重ねて録音したのかな?でも最近のプレイヤーって重ねて録音できないよな。それに童謡なんて入れたおぼえがないぞ。」
ますますはっきりしていく不気味な声に嫌気がさした俺はイヤホンをとり、プレイヤーのスイッチを切った。
「ようやく聞こえたのか。」
突然の声の主は俺の耳にそう言いながら吐息をかけた。


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