小さく短い恐怖 4/3更新


第14話:『コインロッカー』


上京して、この駅で働くようになってから2年目。
いつものように終電が終わり誰もいなくなった駅の構内を見回りしていた。
すると何やら人の声のような音がする。
声がする方向にあるのはコインロッカーだった。
「まさか今時コインロッカーベイビー?!」
そう思い、コインロッカーに駆け寄った。
するとどうも声の主は赤ちゃんでなく、大人のしかも女性のようだった。

「誰か助けて!おねがい開けて!」

右端の一番下にあるコインロッカーから、ドンドンと内側から叩く音とともに女性の悲痛な叫びが聞こえてくる。
しかし私はそのコインロッカーを開けることなく、その場から走り去った、というよりも逃げ出した。
なぜならば、そのコインロッカーはとても小さく、人が入れるわけがないからだ。
私が逃げている間も、後ろから女性の悲痛な叫びとドンドン叩く音は聞こえ続けた。

三日後の朝、隣の市の山中で頭と右腕を切断された女性の死体が見つかった。


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