小さく短い恐怖 4/3更新
第15話:『動機』
真昼間の住宅街にある公園で殺人が起きた。
殺されたのは近くの幼稚園に通うA君(5歳)であり、母親が目を離した隙に公園の隅にあるジャングルジムの横で絞殺された。
犯人はA君と同じ幼稚園に通うB君の母親であった。
その母親は生まれつき耳の不自由なB君の世話のためにノイローゼ気味なっていた。
駆けつけた警察官に取り押さえられた母親を警察署に連れて行き、動機を聞こうとした。
「Aちゃんに今日はもう帰ろうと筆記で伝えても・・・まだジャングルジムで遊びたかったようでその場から離れなかった・・・だから今日の晩御飯はAちゃんの・・・大好物だよって・・・書こうと・・・でも・・インクが・・・そしたらちょうどそばにB君が・・・・・・・でもB君が暴れたから・・・」
その母親は訳のよくわからない供述を繰り返した。
しかし事件現場の写真とそのそばに落ちていた証拠品の紙切れとインク切れのボールペンを見てその訳がわかった。
なぜならばその写真には「く」の字に曲げられたB君の死体の右上のちょうど頭部辺りに石が2個置いてあり、紙切れにはすり切れた字で「今日の夕飯はAちゃんの好きなハンバー・・・」と書いてあったからだ。
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