小さく短い恐怖　4/3更新

第16話：『穴』

あれで良かったのかな。
本当にあれで良かったのかな。

それは昨日の夜のこと、コンビ二に夜食を買いに行った帰りの出来事。
家とコンビニのちょうど中間地点に空き地があり、そこから人が出てきたのだ。
なんでこんなところからと思い空き地の中を見てみると、なにやら大きな穴とその脇に看板が立っていた。
「私を埋めてください。もう私に生きる価値はありません。だから埋めてください。おねがいです。」
と書いてある看板の周囲はいろいろな種類の靴跡でいっぱいだった。
そしてだいぶ埋められたその穴からは女性のものをおぼしき右手がひょっこり出ていた。
だから俺はそれをそばにあったスコップを使い、土で覆った。
本人が望んでいたことだし、それにほかの人もやっていたことだし。

でもあれで良かったのかな。
本当にあれで良かったのかな。

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