小さく短い恐怖 4/3更新


第4話:『シャーペン様』


昔、小学校への通学路でアスファルトが一部剥がれて土が見えているところがあった。
普段はまったく気にしなかったのだが、ある日その土の部分にシャープペンが書く側を上に刺さっているのを見つけた。
私たちはそれをなんとなく「シャーペン様」と呼び、そのシャープペンに向かってあいさつするなどして面白がっていた。
いたずら好きな友人がシャーペン様を引き抜いて家に持ち帰ったことがあったが、なぜか夜には無くなってしまい、次の日の朝に元の場所に戻っていた。
そして今も忘れない平成元年●月●日、いつものようにシャーペン様のある通学路を通ろうとしたが、なぜか警察によって通行止めされていた。
後に母から聞いたのだが、どうも酔っ払いがあそこで転んでしまい、ちょうど顔がシャーペン様の上に落ち、ペン先が脳まで達して死亡したようだった。
事故の次の日、シャーペン様はいなくなっていた。

そして大人になり家庭を持つようになった今、自宅の前の道にはシャーペン様がいる。
私の娘は生まれつき足が不自由で、松葉杖で学校に通っている。



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