小さく短い恐怖 4/3更新


第6話:『Kと俺 その2』


霊感が恐ろしく強いKと霊感のまったくない俺は、ラーメンマニアのMと一緒に近所で評判の博多風ラーメン屋に行った。
店内は今風なデザインで音楽もジャズが流れていた。
そして調理場がよく見えるカウンターに座り、俺とMはトンコツを頼み、Kはチャーシュートンコツを頼んだ。
オーダーして10分ほどでラーメンがきたので食べてみると、評判通り複雑な旨味があり、とてもうまかった。
しかしどうもMとKの表情はけわしく、二人でスープの入った寸胴を睨みつけていた。
すると二人同時に俺に対して「出よう」と言ってきた。
わけもわからずに会計を済ませて店の外に出ると、Mは何か納得したかのようにこう言った。
「どうもあの店は寸胴からスープを取る際に何かこそこそしていたのだが、今日トンコツラーメンを食ってよくわかった。あの店のトンコツラーメンのスープにはトンコツなんか使われていないんだ!トンコツ特有の臭みがまったくないなんておかしいからね。」
Kはまだ釈然としないような感じでこう言った。
「なんで寸胴の上に汚いランニングと半ズボン姿のがりがりの男の子が体育座りしてたんだろう?なんかしきりにチュイだかチューだか言ってたけど…。なんか気味が悪かったな。」
俺とMはその答えが瞬時に出てしまったようで、しばらくそこから動けなかった。
あとで大学の言語学の先生にKが聞いた言葉について聞いてみたところ、某アジア国の言葉で「出してくれ」という意味らしかった。


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