遠い世界〜魔法界〜
第2話:今〜1〜
もうすっかり季節は秋。
でも東京だと、公園とか並木道沿いにある、数少ない紅葉とか銀杏が、ただ染まるだけで過ぎてく季節。
秋、なんてそれっぽい旬の食べ物が、店頭にずらりと並ぶだけ。
お店なんかクリスマスソング流して、お節料理のカタログと見本並べて…。まだまだ、クリスマスもお正月も先だっていうのに。なんか、まるで秋を無視してるみたい。
私にはもうちょっと、せめて新学期が始まってから一月先だって十分だと思える。
さて、このくらいにしておいて、突然でごめんなさい。私の名前は秋。夜埜秋です。平仮名だと、よるのあきっていいます。
別に、名前が秋だから秋っていう季節が好き、とかはあんまり関係なくて、ただ四季それぞれの旬のものが好きなだけ。
えっと、本題に入れなくなってしまうので、その話もそれくらいにしておきます。
今、私がこうして書いているのも運命なのかなって半分思ってます。そしてここでの本題は、私が短くも、決して長くもなかった日々だった、実際の経験の話なのです。
しかし、詳しく話す前にもう一つ。
私には五歳離れた妹がいます。名前は千杖。平仮名だとちえ。これからの話には、千杖も一緒に経験したことなんです。
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