完全否定


第2話:一匹狼の狩り


神堂 銀人、27歳
所属は法務省直轄の部署、『国家治安維持庁』だ。
2010年に巧妙かつ凶悪化する犯罪に業を煮やした政府は、『警察活動新法』を制定し、警察の強権化によって秩序の回復しようとした。
そのために従来の警察での慣習を取り除くために創られた新しい組織が国家治安維持庁である。     特殊な訓練と強力な装備を与えられた彼等の仕事は、秩序の維持と緊急事態における事態の鎮静化だ。  それにはあらゆる手段を用いても…という特権を使って、時に度が過ぎるまでに活動していた。     彼も例に漏れず、強行な手段で任務に当たっていたが、さすがに昨日は特別だ。東京の繁華街を縄張りにする組織の三つ巴の戦い。 たまたま居合わせた神堂の活躍(?)によって三つ全てが壊滅したが、戦後の犯罪史上最も多く死者出した事件となった。
世界的なグローバル化の流れは闇社会にも無縁ではなく、銃器に多量流入によって新興の犯罪武装集団が乱立し敵対組織との抗争も熾烈を極めてきていた。  警察としても、銃器取り締まりの強化、組織の監視、そして新機関の発足などによって治安を取り戻しつつある。
実際、機関発足の当時に比べたら犯罪発生率が30%まで減っている。     (まあ…、少なくともこれで街から馬鹿共を一掃できたから、しばらくはのんびりできるな…)
そう思いながら通りを慣れたハンドル捌きで流す。
昨日とはうって変わり、いつになく穏やかで平和な光景に静かな安堵感を感じ取っていた。
結局何事もなく巡回ルートを回り終えると時間は昼を少し過ぎた辺り…    (戻る前に、昼飯食べていこう。この前、テレビでやっていたラーメン屋は…)細い路地へと車を進めていく。


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