彼が私にくれるもの
第1話:溢れ出る何か
可愛い寝顔
夜勤で疲れ果てて、冷たい頬を赤く染めて
ちぎれそうな程に氷と化した耳も真紅。
お帰りなさい
と抱きつくと
独特の寒い匂いとお店の油の匂いと彼の匂いに包まれる。
疲れを少しでも癒してあげたいと、冷えきった首筋や髪を抱きついたまま撫でる毎日。
‥でも実は癒されているのは私。
今日も無事に帰って来てくれました。嫌な客を相手にしながらも一生懸命稼いで来てくれました。
また今晩もお仕事です。
彼が眠りにつけるまで、ベッドでマッサージと足つぼを施すのは私の彼へのささやかな愛と感謝。
おやすみ三秒で奏でられる彼の寝息は私の大事な子守歌
暑がりな彼の
剥いだ布団をかけ直す時に覗く彼の可愛い寝顔。
いびきはおっさん
寝顔はお肌つるつるな少年
仕事前に剃った髭が少し伸びて、私はそんな彼の寝顔が大好き。
私しか見られない彼
私にしかくれない素のままの彼
私だけの唯一の特権
可愛い寝顔
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