ヴァディア第2章


第17話:花咲く庭3


「ルヴィス殿下、下官達が今にも卒倒しそうですからそこから降りて下さいませ」
王子と混ざってからかってやろうとしたディオールだったが、下官のなかには半泣きになっている者もいたからさすがに止めにした。
思考から引き戻されたルヴィスは軽く肩をすくめてつまらなそうに息を吐いた。「仕方ないな」
足を滑らせないようにゆっくり降りていくと、体がふわりと浮いた。緑樹の下に控えたディオールがルヴィスを抱えて下ろしたのだ。
「1人でも降りられるぞ」
「これも勤めにございますれば」
爽やかな笑顔でルヴィスに言い下官達が胸をなでおろすの見やる。
「殿下には同い年のお友達がいらっしゃるでしょう。彼らと遊べばよろしいのに」
「嫌だ」ルヴィスはディオールに背中を向けた。「どいつもこいつも取り入ることしか考えてない。心の底から友と言えるのはディオだけだ」
下官達に聞こえないように寂しげにルヴィスは呟く。
兄が2人いるが母親が違うことと年齢がかなり離れていること気安く甘えられる血縁関係ではない環境下であることからルヴィスはいつも1人ぼっちも同じだった。ディオールに会うまでは。
「俺を心底友人と言ってくれるのは嬉しいが少なくてもいいから信用できる者を集めましょう」


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