ヴァディア第2章


第20話:ルヴィス・ネプトディア2


暫くは大人達も混ざってとりとめてない談話が続いた。運ばれてきた紅茶を口にしながらルヴィスはカリューナをさりげなく分析していた。1名家の子息にしては特殊な環境にやけにこなれているかんが否めない。ネプトディアの第3王子を前ににしても臆することもなければ宮殿の空気に飲まれることもない。カリューナが父親に似てないのは将軍から開かされた。彼は子供がなく、一族は本家を誰が養子となって跡を継ぐかで揉めていることに悩んでいたが、3年前ようやく跡取りを見いだしたと語った。いつの間に一族の総意を得てカリューナを迎えたのだろう。叔父はカリューナの出自を知りたがったが、将軍が強者ぶりを発揮して追及はさらりと水に流された。
笑いをかみ殺しながらルヴィスは席を立ち上がった。「カリューナ殿は花は好きか?」
「は?…はい」
「座って話ばかりよりも庭師が創った庭でも見ながら、少し歩きましょう。よろしいですか、将軍」「光栄に存じます。…カリューナ」
父親に促され、カリューナは戸惑いながらも立ち上がった。「殿下に失礼のないようにな」
「…はい、父上」
「もちろん共はつけます。このディオールを」
何か言いたげな叔父を制して背後に控える親友を示す。
「ルヴィス!」
「叔父上、私はカリューナ殿ともっと話がしてみたいのです。ディオールの腕を信用して下さい」
優雅に立ち上がり、将軍に笑いかける。「ではご子息をお借りします」
「もったいないことにございます」
将軍は立ち上がり簡易式な敬礼をした。
「では行きましょう。…ディオール共を頼む」
「御意」
自分の主導で事を進めたかった叔父の顔は何とも言えず、笑わないようにするのが精一杯だった。
カリューナを促しながら庭へと歩を進めて行く。
視線の先には…例の樹木が映っていた。


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