ヴァディア第2章
第3話:捕らわれた鳥
広大な世界には6つの大陸と6つの王国が存在している。その中でも強国とされるのが北のネプトディアと東のガルテアだった。この2国は伝承の語る『移動宮』の僕『サーヴァント』の聖なる遺骸を巡って長く争ってきた。
世界を構築し、その後は彼らは遺骸となって埋没していったが、当時一部族であったガルテアはその遺骸を魂のない抜け殻ではあるが、復活させ自ららが内部に入ることで国構築の奉仕を行っていた。侵攻を受ければサーヴァントで退けていた。
全長約20mはある巨人は敵に威圧感と恐怖を与え、姿を見せるだけで戦わずに敵を追い返していた。しかし時が経てば部族間で争いがおき、サーヴァントも身内同士の殺し合いに使われてしまう。聖なる遺骸も外に持ち出され、サーヴァントは武器にされていった。
やがてサーヴァントは管理維持費や保管場所の問題から全長約20mから全長5mまで小型化された。
聖骸には適合性のある者でないと、それを操作できない現状があったが調整し、機械を埋め込む事で無理やり適合率を合わせた。それらは呼称を『D』とされ、同じ機械を埋め込んでもより高い適合性を持ちなが他者を受け入れないサーヴァントは、『S』とし、単体のみとされた。
機械を埋め込み無理やり適合性をあげたためサーヴァントが持っていた魔法に類される『エーテル』能力は引き出せなくなってしまった。機械で補えたが安定性に精密さを欠いた。ガルテアの部族がその能力を得ていたが、サーヴァントを武器にした代償か、能力は失われていた。ごくごく稀にそれを持つ者が生まれたが僅かでしかない。
部族と袂を分かち、ネプトディアと称するようになった元ガルテアの部族とガルテアは、数百年から今に至るまで聖骸をめぐり争っている。ネプトディアの侵攻を受け慌ただしく軍備を整える城内では、不安な面持ちで身を寄せ合う姉弟がいた。
いや姉の方が弟を離すまいとしていた。14歳の姉と僅か7歳の小さな弟。その弟がガルテア『S』サーヴァント『ミネルヴァ』の適合者だったからだ。
逃げ場のないカゴの中の鳥のようだと、14歳の姉エフェミアは弟を抱きしめた。
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