ヴァディア第2章
第31話:歯車
面会の用件をルヴィスはネブラスカに率直に告げた。
自らで書いたガーディアン選出の書類と、カリューナとディオールの2人の書類を提出して。
「ガーディアンを従えるのはネプトディア王家の古い習慣だからね」
概ねの主旨を聞いた上で至極最もとネブラスカは書類に目を通し頷く。
「クロイツフェルト将軍の子息をガーディアンに選出したのは…未来の腹心にするつもりかな?」
「心を許せる人選をし配下とせよ、いつか父上が言っていたでしょう」
ほう、と仮面の眼差しが笑う。
「ネプトディアの安寧のためには内側から固めなくてはならない。内側がもろくては強固な国も崩壊するからね」
子供ながらにしっかりしている、評価はするものの、ネブラスカの心底には冷ややかな物があった。
2人の兄に対向するつもりかは知らないが、自分がそれとはなくカリューナを選んだとは思うまい。
カリューナはいずれガイアードに昇格する。錆びた剣には上質な楯が必要だ。
こちらで手配する手間をルヴィスの方で省いてくれた。
「カリューナはまだ若すぎるから、ルヴィスの見習い下官で登用しよう」
あっさりとネブラスカが承認したため逆にルヴィスは面食らったようだ。
「将軍が選んだ子だ。養子だの出自は関係あるまい?」
項目に目を落としながらネブラスカは言う。
養子縁組みの際に使われた幼いカリューナの写真には、ペンダントタイプにあしらわれたエーテルデバイスが光っていた。
体裁か…小細工は必要あるまいに。
グウィネスかな?
ネブラスカは写真から目を離した。
ガルテアの王子も自分が過去の存在、居場所はここしかないと知るだろう。
もうすぐ。
ジヤフの祭礼の日に。
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